映画『アルゴ』のあらすじとレビュー|過去にあった作戦を元にリアルさとエンターテイメントのバランスが取れた作品

洋画

イランにあるアメリカ大使館人質事件で実際に立てられた作戦が元になった作品です。

2012年10月26日に公開された映画『アルゴ』は、ゴールデングローブ賞のドラマ部門作品賞、監督賞の2部門を受賞し、第85回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しています。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『アルゴ』の予告編

<アルゴ・予告編>

1979年、イラン革命で追放されたモハンマド・レザー・シャー・パフラヴィー国王をアメリカが受け入れたことで、11月に反米デモ隊がアメリカ大使館を占拠し人質が取られる事態が発生しました。

かろうじて6人の職員が大使館より脱出し、イランの新政府がそのことに気づいていないことを受け、CIAの職員トニー・メンデスは6人の職員を脱出させるために、ある作戦を立てました。

映画『アルゴ』の解説

本作は1979年~1980年に起こったイランのテヘランにあるアメリカ大使館人質事件で、実際に立てられた作戦が元になっています。

実際の作戦と多少の相違はあるものの、大筋、脱出作戦のために偽映画の企画が用意されて職員6人をスタッフに偽装させたことは事実です。

2011年の9月に撮影が開始されていますが、当時イランでは核兵器開発疑惑によりアメリカを含む欧米諸国の経済封鎖を受けておりイラン国内での撮影は一切行われなかったそうです。

ゴールデングローブ賞のドラマ部門作品賞と監督賞の2部門を受賞。

第85回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しています。

映画『アルゴ』のあらすじ

1979年2月、イラン革命により、ルーホッラー・ホメイニー率いる反体制勢力がモハンマド・レザー・シャー・パフラヴィー国王をイランより追放します。

しかし、その直後にアメリカが国王を受け入れたことに反発。

反米デモの民衆がテヘランにあるアメリカ大使館を占拠、アメリカ人の外交官52人が人質に取られました。

大使館占拠の直前、かろうじて大使館から逃げ延びた大使館職員の6人はカナダの大使公邸に匿われました。

イランの新政府(イスラーム革命評議会)はこの脱出に気づいておらず、これを受けてCIA職員のトニー・メンデスは6人の脱出のために、『アルゴ』という架空のSF映画をでっちあげ、6人を映画のロケハンのスタッフに身分を偽装させて脱出させる、という作戦を立てます。

映画『アルゴ』のみどころ

映画冒頭、暴動のきっかけとなる出来事のナレーションから民衆が押し掛けるシーンまでの流れがスムーズで、当時の事件を知らない人もすんなりと物語に入れる工夫がされています。

暴動の様子はざらついた感じの画面とよく動くカメラのおかげで迫力があり、領事館から脱出を試みる人々の様子に緊迫感を与えています。

登場人物の服装などにも当時を良く再現したデザインになっており、トーンも少し暗めでシリアスなドラマのような趣ですが、ストーリーのテンポが良いのでハラハラしながらも楽しむことができるエンターテイメントになっています。

映画『アルゴ』の感想

過去に本当にあったのが信じられないような作戦を元に、リアルさとエンターテイメントのバランスがとれた作品になっています。

当時の状況を知らなくても冒頭のナレーションや時折挟まれる映像資料のおかげで状況が分かりやすく、ストーリーのテンポを邪魔していない点も素晴らしいです。

映画『アルゴ』の登場人物・キャスト

アルゴの登場人物・キャストをご紹介します。

トニー・メンデス役:ベン・アフレック
ジャック・オドネル役:ブライアン・クランストン
レスター・シーゲル役:アラン・アーキン
ジョン・チェンバース役:ジョン・グッドマン
ボブ・アンダース役:テイト・ドノヴァン
コーラ・ライジェク役:クレア・デュヴァル
マーク・ライジェク役:クリストファー・デナム
ジョー・スタッフォード役:スクート・マクネイリー
キャシー・スタッフォード役:ケリー・ビシェ
リー・シャッツ役:ロリー・コクレーン
ケン・テイラー(イランのカナダ大使)役:ヴィクター・ガーバー
ハミルトン・ジョーダン( 大統領首席補佐官)役:カイル・チャンドラー:
マリノフ役:クリス・メッシーナ
ロバート・ペンダー役:ジェリコ・イヴァネク
ジョン・ベイツ役:タイタス・ウェリヴァー
アダム・エンジェル役:キース・ザラバッカ
サイラス・ヴァンス(国務長官)役:ボブ・ガントン
マックス・クレイン役:リチャード・カインド

映画『アルゴ』のスタッフ

アルゴのスタッフをご紹介します。

監督:ベン・アフレック
脚本:クリス・テリオ
原作:アントニオ・J・メンデス『The Master of Disguise』
:ジョシュア・バーマン『The Great Escape』
製作:ベン・アフレック、ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロヴ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:ロドリゴ・プリエト
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ