西部開拓時代も終わり、もう少しで20世紀の頃、彼等は銀行強盗を繰り返し、自らの命は自分自身でしか守れない、西部の厳しい時代を生き抜く刹那の若者の物語です。
1970年2月7日に公開された映画『明日に向って撃て!』は、アカデミー賞ではオリジナル脚本賞、撮影賞、作曲賞、主題歌賞の4つを受賞しています。
この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。
映画『明日に向って撃て!』の予告編
<明日に向って撃て!・予告編>
ブッチとキャシディの原題どおり、楽天的で大局から物事を判断するブッチと、凄腕ガンマンで色男であるキャシディの破天荒人生を描きます。
2人に絡むのが人気絶頂のキャサリン・ロスです。
アメリカン・ニューシネマの名作として、当時の刹那な人生観を投影した作品です。
ラストシーンは有名なストップモーションで切り取られ、世界中の共感を得ました。
映画『明日に向って撃て!』の解説
当時のムーブメントであるアメリカン・ニューシネマは、従来のハリウッドの基本である勧善懲悪とか、キリスト教概念による善行などのモラルの殻を破り、新しい時代の自由を謳歌する作品群をいいます。
本作はそもそも銀行強盗を主人公に、彼等に寄り添った描写ですから、昔でしたら考えられない作品です。
監督のジョージ・ロイ・ヒルは本作でアカデミー監督賞にノミネートされました。
主演の2人をそのままに、これまた犯罪者を主人公とした同種の1973年の大ヒット作品「スティング」では同賞を受賞しました。
アカデミー賞ではオリジナル脚本賞、撮影賞、作曲賞、主題歌賞の4つを受賞しています。
映画『明日に向って撃て!』のあらすじ
西部開拓時代も終わりもう少しで20世紀の頃、ブッチ(ポール・ニューマン)とサンダンス(ロバート・レッドフォード)の2人組がいました。
彼等は銀行強盗を繰り返し、自らの命は自分自身でしか守れない、西部の厳しい時代にサバイバルする刹那の若者でした。
今度は知り合いの誘いの儲け話に乗り、大金を移送中の列車強盗をしてしまいます。
まんまと成功し、しばしの休息としてサンダンスの彼女であるエッタ(キャサリン・ロス)のところで休息を決め込むのでした。
しかし平穏な時はすぐさま破られ、次の列車強盗を決行してしまいますが、何と列車の中には保安官に雇われた屈強なガンマン達が待ち構えていました。
しかも追手の追求は厳しく、遂に3人はかねてよりゴールドラッシュに沸く南米ボリビアへ逃げ込むのでした。
しかし、かの地の現実は厳しく、思うように事は進みません・・・。
映画『明日に向って撃て!』のみどころ
当時の人気作曲家であったバート・バカラックによる「雨にぬれても」が、B・J・トーマスの明るい歌唱もあって大ヒットし、本作の興行にも大きく貢献しました。
2人は実在の人物を掘り起こし、脚本のウィリアム・ゴールドマンが脚色したものです。
これもまた実在の無法者であるマイク・キャシディは幾度も西部劇に登場します。
このキャシディがメンバーを集め銀行強盗を繰り返しましたが、彼等を主題に「ワイルド・バンチ」と言う名作映画も誕生しました。
そのメンバーに本作のサンダンスも加わっていたそうです。
2人の主人公のキャラが演ずる役者に合致し、セリフのやりとりも大変に面白く出来ていました。
演ずる2人も新旧の人気スターであり、人気爆発の様相でした。
映画『明日に向って撃て!』の感想
ポールとキャサリンが自転車に乗って戯れるシーンに「雨にぬれても」の曲が被さり、さながらミュージック・ビデオの心地よさでした。
またこのシーンはコマーシャルにも使われ人気を博しました。
ラスト2人でハチの巣の銃撃を覚悟で飛び出すシーンは、名作のベストショットでもあります。
映画『明日に向って撃て!』の登場人物・キャスト
明日に向って撃て!の登場人物・キャストをご紹介します。
ブッチ・キャシディ:ポール・ニューマン
ザ・サンダンス・キッド:ロバート・レッドフォード
エッタ・プレイス:キャサリン・ロス
パーシー・ギャリス:ストローザー・マーティン
ブレッドソー:ジェフ・コーリー
ウッドコック:ジョージ・ファース
アグネス:クロリス・リーチマン
映画『明日に向って撃て!』のスタッフ
明日に向って撃て!のスタッフをご紹介します。
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
製作:ジョン・フォアマン
製作総指揮:ポール・モナシュ
音楽:バート・バカラック
主題歌:B・J・トーマス「雨にぬれても」
撮影:コンラッド・L・ホール
編集:ジョン・C・ハワード