映画『奇跡の海』のあらすじとレビュー|70年代のスコットランド・寒村が舞台設定

洋画

重傷を負い寝たきりになってしまった男性が、結婚相手の女性に無茶苦茶な要求をしていく物語です。

1997年4月12日に公開された映画『奇跡の海』の撮影ロケは、殆どがスコットランド国内で行われています。

そんな物語の、みどころや感想などをご紹介します。

映画『奇跡の海』の予告編

<奇跡の海・予告編>

本作は、70年代のスコットランド・寒村を舞台にしています。

主人公のベスは、保守的な村で家族と共に暮らしていました。

彼女は油田採掘のヤンと結婚しますが、村人たちはよそ者である彼に辛く当たります。

こんな状況の中、ヤンは油田事故によって、重いケガをしてしまいます。

そして彼は、全身が麻痺してしまい、体が動かず「寝たきり」の生活になってしまいました。

体が動かず、不能になってしまったヤンは、ベスに対して、めちゃくちゃなことを要求してしまいます。

それは、ベスが他の男性を見つけて、そして体の関係を結ぶことでした。

映画『奇跡の海』の解説

本作は、1996年のカンヌ国際映画祭で「審査員特別グランプリ」を獲得できました。

また、同年のヨーロッパ映画賞の3部門を受賞しており、主役のエミリー・ワトソンの演技が高く評価されています。

因みに彼女は、1996年のアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされました。

本作では手持ちカメラでの撮影も行われており、当事者目線の演出が話題を呼びました。

撮影ロケはスカイ島をはじめ、殆どがスコットランド国内で行われています。

但し、室内シーンの多くはデンマークのスタジオで撮られています。

本作のテーマの一つは「神への献身」ですが、そこにはデンマークの映画監督カール・テオドール・ドライヤーの影響が見られます。

映画『奇跡の海』のあらすじ

舞台は70年代のスコットランドです。

主人公のベスは、宗教を重んじる寒村で育ち、大きくなりました。

彼女自身も、プロテスタントの篤い信者でした。

そんなベスは、北海油田の海上掘削基地で働くヤンと出会い結婚します。

二人は、とても深く、愛し合っていました。

しかし、ヤンは採掘作業のために家に戻れない日が多くなります。

ベスは、愛しているヤンが居ないという寂しさから、彼が早く戻るよう神に祈ります。

そんな折、ヤンは油田事故で頭に重傷を負ってしまいます。

結果、彼は寝たきり状態になりますが、ベスはそれを自分のせいだと思い込みました。

そんな彼女に対して、ヤンは、考えられない、とんでもない依頼をします。

それは、ベスが、他の男性と体の関係を結ぶことでした。

そして、二人の営みの一部始終をヤンに告げるというものです。

その夜、ベスは街に繰り出し、彼女は行きずりの男性と一夜を共にするのでした。

映画『奇跡の海』のみどころ

本作の見どころは、ベスとヤンの異常とも思える特別で特殊な愛情関係です。

ベスは、行きずりの恋の一部始終をヤンに伝えます。

それが、二人の楽しみとなり、ヤンにとっては「生きがい」になりました。

一方、そんな二人に対して、周囲は戸惑いを隠せません。

特に医師のリチャードソンンは、ベスに行動を改めるよう忠告します。

その頃には、ヤンも心配するようになり、ベスが精神病院に送られることに同意しました。

しかし、ベスの男漁りはエスカレートしていき、遂には、大型船に娼婦として乗り込みます。

但し船での生活は想像とは異なり、彼女は、とても怖くなってしまい、逃げ出します。

ベスはボロボロになりながら教会に逃げ込みますが、追放されて精神病院送りになるのでした。

映画『奇跡の海』の感想

世の中には、様々な愛のカタチがあるものです。

その中の一つが、本作のテーマになっていると言えます。

それは極めて特殊な愛のカタチではありますが、実際にあり得る話でもあります。

ベスにとっては、「不倫」こそ「神への献身」だったのかもしれません。

映画『奇跡の海』の登場人物・キャスト

奇跡の海の登場人物・キャストをご紹介します。

ベス:エミリー・ワトソン
ヤン:ステラン・スカルスガルド
ドド:カトリン・カートリッジ
リチャードソン:エイドリアン・ローリンズ
ベスの母親:サンドラ・ヴォー
トロール船の男:ウド・キア
テリー:ジャン=マルク・バール

映画『奇跡の海』のスタッフ

奇跡の海のスタッフをご紹介します。

監督、脚本:L・トリアー
製作:ペーター・オールベック・ヤンセン
:ヴィベク・ウィンドレフ
撮影:ロビー・ミューラー