映画『霧の中の風景』のあらすじとレビュー|父親を知らない幼い兄弟が国を超えて2人で父を探す旅に出るという物語

洋画

1990年3月17日に公開された映画『霧の中の風景』。
この記事では、映画『霧の中の風景』のあらすじ・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『霧の中の風景』の予告編

1988年に製作されたヨーロッパ映画。

父親を知らない幼い兄弟が国を超えて、2人で父を探す旅に出るという物語です。

無一文で出発した2人だったが、その先に待ち受けていた過酷な出来事、人生を変える旅の目的地に辿り着くことができるのか、1970年代の暗い情勢のギリシャを舞台に送るドラマです。

監督はギリシャの名匠であるアンゲロプロスが製作、映画界でも傑作として名を残しています。

映画『霧の中の風景』のあらすじ

 ギリシャ・アテネに住む少女ヴィーラ12歳と弟アレクサンドロス5歳は、母親と暮らしていました。

父親がドイツに住んでいると聞かされていた2人は、ある日見たことのない父親を探しに人知れず、家を出ます。

列車へと乗り込もうとしますが、チケットを持っていなかったことで警察に連れて行かれ、遠く離れた叔父の元へ送られてしまいます。

叔父いわく、父親はドイツにはいないと子供たちに言いますが、2人はそれでも母親の言葉を信じ、叔父の家から抜け出し再び旅の目的地を目指します。

運よく、若い青年オレスティスに会ったことで希望を持った2人ですが、人生は過酷な方向へと導かれていきます。

映画『霧の中の風景』の解説

 1988年にヨーロッパ各国で上映後、第45回ヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞、翌年1989年には第2回ヨーロッパ映画賞・作品賞を受賞しています。

当時の映画評論雑誌「ビレッジ・ヴォイス」による批評家と世論調査から、20世紀のベストフィルム100本の中に選出されています。

また、本作は全三部作で構成されており、前作「シテール島への船首(1984)」と「蜂の旅人(1986)」に続く、テオ・アンゲロプロス監督の沈黙の最終章となっています。

映画のサウンドトラックは、ギリシャ人作曲家エレニ・カラインドルーによって作曲され、子供たちの旅をロマンチックでありながら、どこか鋭い音響で表現されています。

映画『霧の中の風景』のみどころ

 ギリシャの巨匠アンゲロプス監督のオリジナルストーリーの長編映画で、上映時間2時間弱で製作されています。

監督が持つ独特の世界観はヨーロッパの映画界では定評があり、本作も三部作の最終章のみアメリカでも劇場公開されています。

主人公兄妹のまだ見ぬ父親への愛。

電車のチケットを持たず陸路での道中に出会う大人たち。

当てもなく旅を続ける2人の前に立ちはだかる現実。

希望を持った旅の先に待ち受けていたものとは何なのか、視聴者に向けた人生とは何なのかという問いかけが含まれたストーリー展開です。

霧のある風景がもつ本質を映像に込めた表現で映された描写が見どころです。

映画『霧の中の風景』の感想

 ギリシャ映画の傑作を生み出した故テオ・アンゲロプロス監督は、フランスで映画を学び、ギリシャ映画を生涯にわたって製作した巨匠です。

オリジナルの脚本家とも知られ、本作を皮切りに、それ以降上映された映画は高く評価されるようになりました。

映画『霧の中の風景』の登場人物・キャスト

映画『霧の中の風景』のキャストをご紹介します。

  • ヴーラ:タニア・パライオログウ
  • アレクサンドロス:ミカリス・ゼーケ
  • オレステス:ストラトス・ジョルジョグロウ
  • トラック運転手:ヴァシリス・コロヴォス
  • 旅の一座の女優:エヴァ・コタマニドゥ

映画『霧の中の風景』のスタッフ

映画『霧の中の風景』の作成スタッフをご紹介します。

  • 監督・脚本・製作:テオ・アンゲロプロス
  • 脚本:トニーノ・グエッラ、タナシス・ヴァルニティノス
  • 音楽:エレニ・カラインドルー
  • 撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス
  • 編集:ヤニス・チッチョプロス