父に代わってホルモン焼き屋を切り盛りする少女チエは、賭博に金を使ってしまうような父に呆れつつも日々を過ごしています。
父の事は、名前の「テツ」と呼ぶほど軽視しているチエの周りには、ユニークながらも心優しい人々がいっぱいで、そんな日常が過ぎていくアニメ作品です。
1981年4月1日に公開された映画『じゃりン子チエ』は、古い作品ではありますが、デフォルメ的な絵柄なので、いま観ても古さは感じない作品になっています。
この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。
映画『じゃりン子チエ』の予告編
<じゃりン子チエ・予告編>
大阪の下町を舞台に、ダメ父をもつ少女チエとその周囲の人々を描く人情ストーリーです。
チエの家はホルモン焼き屋を営んでいますが、本来の店主である父は働きません。
その父に代わって店を切り盛りするチエ。
「うちは日本一不幸な少女や」が口癖の彼女ですが、元気いっぱいの少女です。
出ていった母、迎え入れた猫の小鉄などさまざまな登場人物が物語を彩っています。
映画『じゃりン子チエ』の解説
声優の多くを吉本芸人など関西弁に強い役者を起用しています。
そのため非常に自然な関西弁となっており、違和感を覚えることなく、むしろ世界観に引き込まれる台詞回しになっています。
原作の1巻を元に作成しており、かなり忠実に再現されているのがポイント。
ほぼ原作そのままですが、唯一抜けているセリフがあります。
放送禁止用語のため飛ばされているのですが、そこが抜けているくらい原作に忠実です。
映画の公開は1981年4月と古い作品ですが、デフォルメ的な絵柄なのでいま観ても古さは感じないかと思います。
公開当時のランキングはキネマ旬報日本映画ランキングで36位となっています。
映画『じゃりン子チエ』のあらすじ
父に代わってホルモン焼き屋を切り盛りする少女・チエ。
賭博に金を使ってしまうような父に呆れつつも日々を過ごしています。
父の事は、「お父さん」じゃなくて、名前の「テツ」と呼ぶほどに軽視している彼女。
そんな彼女の周りにはユニークながらも、心優しい人々がいっぱい。
なんだかんだと日常は過ぎていくのでした。
テツもチエのことを放置しているわけでもなく、チエがマラソン大会でいつも下駄で参加していると聞いて靴をプレゼントするなど父親らしい一面も。
そんな中、出ていった母がチエたちの前に現れます。
三人ででかけるものの、ギクシャクとしている父母。
しかし、チエはそんな雰囲気を和ませるために歌を歌うのでした。
映画『じゃりン子チエ』のみどころ
見どころいっぱいな作品です。
迎え入れた猫の小鉄も猫同士の会話では関西弁をしゃべります。
彼と彼のライバルの息子との決闘シーンはなかなかに見応えあり。
また、靴を履いて参加したマラソン大会もチエの独走状態で、彼女の運動能力が発揮されていて面白いシーンになっています。
そして最大のみどころは父母のために電車の中で歌を歌うシーン。
子どもながらも大人っぽい配慮で少しおどけてみせようとする彼女の心遣いに優しさを感じます。
先に述べた通り、言葉が非常に自然なのもポイント。
違和感のある関西弁のアニメが多い中、関西人も納得のきれいな関西弁がいい作品です。
映画『じゃりン子チエ』の感想
昔懐かしい下町文化を縦糸に、そこに住む人々を絡めながら紡がれている物語がいい味わいの作品です。
登場人物もそれぞれかなり個性的で、物語の初めから終わりまで飽きません。
静と動のシーンが織り交ぜられているのも、コミカルな生活感をにじませています。
映画『じゃりン子チエ』の登場人物・キャスト
じゃりン子チエの登場人物・キャストをご紹介します。
チエ:中山千夏
テツ:西川のりお
ミツル:上方よしお
社長:芦屋雁之助
ヨシ江:三林京子
おバア:京唄子
おジイ:鳳啓助
花井 渉:桂三枝
花井 拳骨:笑福亭仁鶴
マサル:島田紳助
タカシ:松本竜介
テツの仲間:オール阪神・巨人
カルメラ兄弟:ザ・ぼんち
アントニオ:横山やすし
アントニオ・ジュニア:横山やすし
小鉄:西川きよし
映画『じゃりン子チエ』のスタッフ
じゃりン子チエのスタッフをご紹介します。
監督:高畑勲
助監督:三家本泰美
製作:多賀英典、片山哲生
制作担当: 仙石鎮彦
制作デスク :竹内孝次
脚本:城山昇、高畑勲
作画監督:小田部羊一、大塚康生
美術監督: 山本二三
撮影監督:高橋宏固
録音監督:加藤敏
ネガ編集:高橋和子
タイトル:藤井敬康
整音:前田仁信
効果:倉橋静男(東洋音響効果グループ)
編集:鶴渕充寿