映画『淵に立つ』のあらすじとレビュー|町工場に平穏な時間が戻ろうとしていたが家族には言い知れぬ深い傷跡が残されていた物語

邦画

町工場を営み妻と娘とともに暮らし、とても穏やかな家庭でした。

そんなところに、古くからの友人だった八坂という男が現われることで、物語は続きます。

2016年10月8日に公開された映画『淵に立つ』は、第29回東京国際映画祭において「Japan Now」部門で上映され、またカンヌ国際映画祭においては「ある視点」部門で審査員賞を受賞しました。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『淵に立つ』の予告編

<淵に立つ・予告編>

利雄は町工場を営んでおり、妻の章江と娘の蛍とともに暮らしていました。

会話はさほどないものの、かと言って波風が立つこともなく、とても穏やかな家庭でした。

物語は、そんな利雄たちの生活に、ある日、利雄の古くからの友人だった八坂という男が現われることから始まります。

八坂はある重い罪を犯し、出所して間もない身だったのでした。

映画『淵に立つ』の解説

「淵に立つ」は、2016年5月14日カンヌ国際映画祭において上映され、同年9月6日にユーロライブにおいて、「完成披露試写会」が開催されました。

同年10月8日には、全国50箇所で一般公開されています。

同10月30日の第29回東京国際映画祭においては、「Japan Now」部門で上映されました。

また、カンヌ国際映画祭においては、「ある視点」部門で審査員賞を受賞した作品です。

製作会社は、Comme des Cinémasと名古屋テレビ放送で、配給はエレファントハウスが担っています。

主題歌はHARUHIが担当しました。

映画『淵に立つ』のあらすじ

八坂に部屋を貸した利雄に、章江は驚きを隠せません。

しかし、八坂の人当たりのよさに好感を持っていました。

また、通っている教会で開催されることになっている演奏会のためにオルガン練習に明け暮れる蛍も、良いアドバイスをしてくれる八坂に次第に懐いていくのでした。

八坂はある時、章江に罪を犯したことを打ち明けます。

しかし、すでに八坂へ信頼を寄せていた章江には、このことが八坂へ愛情に変わるきっかけとなるのでした。

しかし、平穏だった一家が八坂を中心として動き始めた実感を八坂が得た時から、彼による暴挙は始まるのでした。

映画『淵に立つ』のみどころ

それから8年の時が流れていました。

町工場には平穏な時間がようやく戻ろうとしていましたが、家族には言い知れぬ深い傷跡が残されていました。

皆のために失踪していった八坂を探させる利雄でしたが、長い時の流れが諦めの気持ちを抱かせていることも事実でした。

ある時、孝司という若者が工場に出入りするようになります。

孝司は工場に好意的に迎えられていましたが、利雄に自分の父親は八坂であることを打ち明けます。

孝司の存在は忌まわしい記憶を呼び起こすには十分でした。

利雄は章江に、八坂と自分の秘密を明らかにするものの、それは遅すぎた告白だったのでした。

映画『淵に立つ』の感想

きっと誰でもが心に秘めたまま誰にも言わずにいる過去や、それにまつわる想いを抱えて生きていることでしょう。

誰かを想うがゆえであったり、自分を守るがゆえのそれは、果たして誰の何のためのものかと改めて考えさせられる作品でした。

映画『淵に立つ』の登場人物・キャスト

淵に立つの登場人物・キャストをご紹介します。

浅野忠信:八坂草太郎
鈴岡章江:筒井真理子
鈴岡利雄:古舘寛治
山上孝司:太賀
設楽篤:三浦貴大
鈴岡蛍:篠川桃音

映画『淵に立つ』のスタッフ

淵に立つのスタッフをご紹介します。

監督・脚本:深田晃司
製作:新村裕、澤田正道
製作総指揮:福嶋更一郎、大山義人