映画『無法松の一生』のあらすじとレビュー|人力車夫として働く男、富島松五郎の人生を描いた作品

邦画

九州の小倉の人力車夫、松五郎は、博打が元でふるさとを追われ、喧嘩っ早いことで有名でした。

その松五郎はある日、怪我をしている少年敏雄を助け、話が続きます。

1958年4月22日に公開された映画『無法松の一生』は、戦時中の初期のものとは異なり、検閲で一部が削除されたりはされておらず、いわば完全版のものになります。

そして、第19回ヴェネツィア国際映画祭では最高賞である金獅子賞を受賞しています。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『無法松の一生』の予告編

<無法松の一生・予告編>

「無法松の一生」は、人力車夫として働く男、富島松五郎の人生を描いた作品です。

博打を趣味として、喧嘩っ早い松五郎は、ある日陸軍大尉の息子である敏雄を助けます。

そのことをきっかけに、敏雄を始めとする吉岡家と親しくなっていきます。

しかし、吉岡大尉は雨の演習で身体を壊し、命を落としてしまいます。

そして、大尉の妻は、松五郎に助けを求めるという内容です。

映画『無法松の一生』の解説

「無法松の一生」は、1958年に制作された日本の映画です。

1943年の同名映画を、監督である稲垣浩さんがリメイクしました。

1943年に作られた「無法松の一生」は、戦時中ということで複数回の検閲を受けます。

その結果、主人公の松五郎が吉岡大尉の夫人に告白するシーンなど、一部が削除されてしまいました。

さらに、戦後もGHQによって削除された部分があります。

1958年に作られた「無法松の一生」は、そのような削除を受けていない、いわば完全版です。

そして、第19回ヴェネツィア国際映画祭に出品され、最高賞である金獅子賞を受賞しています。

映画『無法松の一生』のあらすじ

明治30年、九州の小倉には、松五郎という名前の人力車夫がいました。

松五郎は博打が元で、ふるさとを追われ、喧嘩っ早いことで有名でした。

そのため、無法松というあだ名を付けられています。

その松五郎はある日、怪我をしている少年敏雄を助けます。

敏雄は、陸軍大尉であった吉岡の子どもでした。

そのことをきっかけに、松五郎は吉岡家と親しくなっていきます。

しかし、吉岡大尉は、雨の演習で風邪をこじらせ、そのまま帰らぬ人となってしまいます。

大尉の夫人は、息子の敏雄の身体が弱いこともあり、松五郎に助けを求めます。

そして、松五郎は夫人と敏雄に尽くしていくというストーリーです。

映画『無法松の一生』のみどころ

「無法松の一生」の魅力は、主人である公松五郎の「人となり」にあります。

竹を割ったような爽快な性格で、見返りを求めずに困った人を助けるという人情があります。

ストーリーは特に大きな事件が起こるわけではなく、比較的平凡な日常が流れていくだけです。

しかし、視聴を続けていくと、松五郎の性格に引き込まれるはずです。

また、松五郎と大尉夫人の純愛模様も、見どころのひとつです。

惹かれ合いながらも、立場が異なるため、お互いの気持ちを伝えられないいじらしさが魅力です。

そして、松五郎を演じる三船敏郎さんと、夫人役の高峰秀子さんの演技力にも注目です。

映画『無法松の一生』の感想

「無法松の一生」は、全部で4回映画化されています。

その中でも、1943年と1958年に作られたものが代表作として扱われます。

そのため、まず視聴するのであれば、完全版とも言える1958年の方を選ぶと良いでしょう。

映画『無法松の一生』の登場人物・キャスト

無法松の一生の登場人物・キャストをご紹介します。

富島松五郎:三船敏郎
吉岡良子:高峰秀子
吉岡小太郎:芥川比呂志
結城重蔵:笠智衆
宇和島屋おとら:飯田蝶子
熊吉:田中春男
撃剣の師範:宮口精二
清吉:多々良純
高校の先生:土屋嘉男
良子の兄:中村伸郎
オイチニの薬や:有島一郎
巡査:稲葉義男
松五郎の父:小杉義男
茶店の客:上田吉二郎
店の亭主:左卜全
良子の兄の妻:中北千枝子
町の古老:高堂国典
奥大将:山田巳之助
俥の客:沢村いき雄
ぼんさん:大村千吉
虚無僧:谷晃
茶店の女房:馬野都留子
茶店の老婆:本間文子
町の青年:今泉廉
太鼓を打つ青年:渋谷英男
人足甲:桜井巨郎
人足乙:熊谷二良
結城の乾分:久世竜

映画『無法松の一生』のスタッフ

無法松の一生のスタッフをご紹介します。

監督:稲垣浩
製作:田中友幸
原作:岩下俊作
脚色:伊丹万作、稲垣浩
撮影:山田一夫
美術:植田寛
録音:西川善男、下永尚
照明:猪原一郎
音楽:團伊玖磨
監督助手:丸輝夫
編集:黒岩義民
製作担当者:川上勝太郎