映画『風立ちぬ』のあらすじとレビュー|戦闘機設計に夢中の青年が恋愛・結婚と美しく描かれた青春の日々の作品

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主人公の堀越二郎は、飛行機作りに夢中になる青年で、帝大生の時、里見菜穂子と出会います。

年月を経て再会した二人は結婚し菜穂子の愛を支えに、最新鋭の戦闘機設計に取り組みます。

そんな若い二人の青春の物語です。

2013年7月20日に公開された映画『風立ちぬ』は、スタジオジブリ制作の宮崎駿監督の長編アニメーション作品で、宮崎駿監督は、この映画を最後に映画監督を引退すると表明しますが、後に撤回します。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『風立ちぬ』の予告編

<風立ちぬ・予告編>

この映画は、スタジオジブリ制作の宮崎駿監督作品です。

堀辰雄の名作小説「風立ちぬ」と通称零戦の設計者である堀越二郎の若き日々を織り交ぜたオリジナル作品に仕上がっています。

主人公の堀越二郎は、幼い頃より飛行機を作りたいと願う少年でした。

そんな彼は帝大生の時、少女里見菜穂子と出会います。

年月を経て再会した二人ですが、菜穂子は結核を患っていました。

菜穂子との愛を支えに、最新鋭の戦闘機設計に取り組む二郎。

これは、そんな若い二人の青春の物語です。

映画『風立ちぬ』の解説

スタジオジブリ制作、宮崎駿監督の長編アニメーション作品です。

宮崎駿監督は、この映画を最後に映画監督の仕事を引退すると表明しています。

(後に撤回しますが……。)

それだけに、この作品には彼の思い入れの強さを感じます。

堀越二郎の声優を務めるのは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの監督としてもお馴染みの庵野秀明。

庵野監督と宮崎監督は、『風の谷のナウシカ』制作の頃よりの旧知の中で、庵野監督の声優起用もこの映画の大きな話題の一つとなりました。

また、主題歌は荒井(松任谷)由実の「ひこうき雲」で、『魔女の宅急便』以来のユーミンの主題歌起用となりました。

映画『風立ちぬ』のあらすじ

飛行機作りに興味を持つ少年、堀越二郎は、夢の中で時折、憧れのジャンニ・カプローニと出会います。

その後、大人になっても何度か白昼夢で彼との邂逅を重ねる二郎。

そんな彼は、帝大卒業後、飛行機設計会社に就職し、まだ誰も作ったことのない最新鋭の戦闘機の設計に着手します。

しかし、なかなか思うようにはいきません。

そんな中、彼は休暇中に訪ねた軽井沢で、里見菜穂子という女性と出会います。

いえ、二人は以前、まだ二郎が大学生の時に一度会っているのです。

その時ちょうど関東大震災が起き、ケガをした菜穂子の侍女を二郎が介抱したという経験があります。

あの頃はまだ少女だった菜穂子も、美しい大人の女性へと成長していましたが、彼女は結核を患っていました。

それでも、二人は急速に惹かれ合い、結婚を約束し合います。

そして、二郎は菜穂子の愛に支えられて、もう一度戦闘機設計に挑みます。

映画『風立ちぬ』のみどころ

堀越二郎が、作中設計に夢中になり、やがて作り上げる戦闘機は、零戦。

第二次世界大戦中、神風特攻隊が使用したことで知られる戦闘機です。

それでも、設計者というのは、それがどんな使われ方をされるか分かっていても、理想の飛行機を作りたいと夢見るもの。

飛行機設計は、「呪われた夢だ」と劇中カプローニの言葉がそう二郎に言いますが、それでも二郎は、諦められないのです。

それは、菜穂子との恋愛も同じ。

菜穂子は、結核を患っています。

彼女の母もまた結核で亡くなっていることから、菜穂子も生きたいと願いつつも意識せずにはいられません。

だからこそ、二郎との恋愛に全てをかけます。

二人が短いながらも疑似的な夫婦として、一つ屋根の下で暮らすシーンは、見ている者の心を和ませます。

生き急ぐ菜穂子と呪われた夢にとりつかれた二郎。

美しく描かれた二人の青春の日々が、この映画最大のみどころでしょう。

映画『風立ちぬ』の感想

正しきことなのか分からなくとも憑りつかれるようにして何かを作り上げることに夢中になる人間の業の深さ。

この映画では、そのようなことを深く考えさせられます。

もしかしたら、それは、アニメーション映画製作に力を注いだ宮崎駿監督自身の想いと重なる部分があるかもしれません。

映画『風立ちぬ』の登場人物・キャスト

風立ちぬの登場人物・キャストをご紹介します。

堀越二郎:庵野秀明
里見菜穂子:瀧本美織
本庄:西島秀俊
堀越加代:志田未来
カプローニ:野村萬斎

映画『風立ちぬ』のスタッフ

風立ちぬのスタッフをご紹介します。

監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
原作:宮崎駿
製作:鈴木敏夫
音楽:久石譲
主題歌:荒井由実「ひこうき雲」
撮影:奥井敦
編集:瀬山武司
制作会社:スタジオジブリ