映画『チップス先生さようなら』のあらすじとレビュー|パブリックスクールを舞台に教師と生徒との交流を描くミュージカル作品

洋画

英国南部のブルックフィールドにあるパブリック・スクールの教師アーサー・チッピングは、長身で温厚でも少し個性が強く、とても教育には情熱溢れる人物でした。

夏休みを利用してイタリア旅行へ向かう途中で女優のキャサリンに出会い、たちまち恋に落ちてしまい、話が続きます。

1969年12月20日に公開された映画『チップス先生さようなら』は、2度目の映画化で、レスリー・ブリッカスによる作曲・作詞を基にしたミュージカル作品です。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『チップス先生さようなら』の予告編

<チップス先生さようなら・予告編>

1930年代、イングランドのパブリックスクールを舞台に、そこで教師を務めるアーサー・チッピング(通称チップス先生)を通じ、生徒との交流を描くミュージカル映画です。

夏休みを利用しての旅行で生涯の伴侶と出会い、彼女との生活により先生としても大きく成長するのでした。しかし第2次世界大戦の雲行きは怪しく、2人の生活にも大きく影を落とすのでした。

映画『チップス先生さようなら』の解説

英国の作家ジェームズ・ヒルトンの代表作である「グッドバイ・ミスター・チップス」を原作に、1939年にはロバート・ドーナットとグリア・ガースンの主演で映画化されています(監督はサム・ウッド)。

本作は2度目の映画化で、レスリー・ブリッカスによる作曲・作詞を基にしたミュージカル作品です。

主演は1962年のあの大作「アラビアのロレンス」への抜擢以降トップスターの仲間入りしたピーター・オトゥールです。

本作により第27回ゴールデングローブ賞の主演男優賞に輝いております。

相手役の女優には当時のトップシンガーとして全盛期のペトゥラ・クラークが務めました。

映画『チップス先生さようなら』のあらすじ

アーサー・チッピングは英国南部の田園都市ブルックフィールドにあるパブリック・スクールの教師です。

長身で温厚ですが、少々個性が強く大変に教育に対し情熱溢れる教師でしたが、厳しい規律を強要し生徒達には嫌われ者でもありました。

夏休みを利用してイタリア旅行へ向かう際に、ロンドンで女優をしているキャサリンに出会います。

偶然にもイタリアのポンペイの遺跡で2人は再開し、たちまち恋に落ちてしまいます。

明るく快活なキャサリンは積極的で、彼女の方から告白されてしまうのでした。

やがて新学期、ブルックフィールドにおいても彼女の存在は目立ち、周囲の人々の人気者にもなりました。

しかし私立学校でもあり、学校の有力者であるサタウィック卿はこれを疎ましく嫌うのでした。

次第にチップス先生に圧力がかかり、2人の立場が危うくなってしまいます。

しかしそれを救ったのが生徒達でした・・・。

映画『チップス先生さようなら』のみどころ

ハーバート・ロスはバレエ・ダンサー出身で振付師もこなし、本作で監督デビュー、以降20世紀終わりまで第一線の映画監督を務めました。

「愛と喝采の日々」や「フットルース」などの大ヒット作も多数あります。

本作は滋味な内容ですが、シネラマ方式の大型映画の大作です。

作詞作曲はレスリー・ブリッカスですが、映画のスコアは後にスピルバーグとのコンビで特大ヒット作連発のジョン・ウィリアムズが作曲しております。

オトゥールは歌唱も本人起用で朴訥とした味わいに魅力がありますが、本物歌手であるペトゥラ・クラークの快活な歌唱で本作を圧倒的に牽引します。

怠惰な生徒達に積極的に情熱を吹き込み、やがて虜にさせてしまう天性の魅力が活きておりました。

映画『チップス先生さようなら』の感想

1989年のロビン・ウィリアムズ主演の「いまを生きる」に似た雰囲気があり、それのミュージカル版ともいえます。

オトゥールは1972年の「ラ・マンチャの男」でもミュージカルに主演してますが、さすがに本作ではクラークの歌唱に押されっぱなしなのは確かです。

しかし、イングランドの豊かな緑を大画面でダイナミックに描く魅力もたっぷりの作品です。

映画『チップス先生さようなら』の登場人物・キャスト

チップス先生さようならの登場人物・キャストをご紹介します。

アーサー・チッピング:ピーター・オトゥール
キャサリン:ペトゥラ・クラーク
校長:マイケル・レッドグレイヴ
サタウィック卿:ジョージ・ベイカー

映画『チップス先生さようなら』のスタッフ

チップス先生さようならのスタッフをご紹介します。

監督:ハーバート・ロス
脚本:テレンス・ラティガン
原作:ジェームズ・ヒルトン
製作:アーサー・P・ジェイコブス
音楽:ジョン・ウィリアムズ(スコア)
撮影:オズワルド・モリス
編集:ラルフ・ケンプレン