映画『テザ 慟哭の大地』のあらすじとレビュー|ドイツにいた移民の主人公が故郷のエチオピアに帰郷する物語

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主人公アルベルブルは、医師になるためにドイツへと留学しますが、白人社会であるドイツで人種差別を受けます。

祖国エチオピアで革命が起こりアルベルブルは帰国しますが、そこで目にしたのは、マルクス主義を掲げた軍事政権でした。

アルベルブルは、軍事政権の命令によって再びドイツへと送られてしまい、話は続きます。

2011年6月18日に公開された映画『テザ 慟哭の大地』は、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、審査員特別賞と、脚本を称える金のオゼッラ賞、SIGNIS賞の3つの賞を受賞しています。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『テザ 慟哭の大地』の予告編

<テザ 慟哭の大地・予告編>

「テザ 慟哭の大地」は、移民としてドイツに渡っていた主人公アンベルブルが、故郷であるエチオピアに帰るという物語です。

エチオピアの内情が激変した1970年から1990年を舞台に、国の歴史や社会情勢などに翻弄される庶民の姿が描かれます。

白人社会であるヨーロッパで生きるエチオピア人や、社会主義を取り込もうとする国など、現実のエチオピアに関するリアルな要素を取り入れた作品です。

映画『テザ 慟哭の大地』の解説

「テザ 慟哭の大地」の監督は、「三千年の収穫」でロカルノ国際映画祭銀豹賞を獲得したハイレ・ゲリマです。

エチオピア出身であるハイレ・ゲリマは、アフリカから世界中に移民として渡った人々をテーマにする映画を得意としています。

そして、「テザ 慟哭の大地」も例外ではなく、エチオピア人難民のディアスポラが主役です。

2008年には、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されました。

そこで、審査員特別賞と脚本を称える金のオゼッラ賞、SIGNIS賞という3つの賞を受賞しています。

その他にも、ロッテルダム国際映画祭を始めとする、20以上の映画祭で賞を受賞しています。

映画『テザ 慟哭の大地』のあらすじ

1970年、エチオピア人である主人公アルベルブルは、医師になるためにドイツへと留学します。

しかし、白人社会であるドイツで人種差別を受けることになってしまいます。

そして、1980年代、祖国エチオピアで革命が起こった後に、アルベルブルは帰国の途に就きます。

そこで彼が目にしたのは、マルクス主義を掲げた軍事政権でした。

アルベルブルは、庶民の人格を軽く扱う軍事政権の命令によって、再度ドイツへと送られます。

けれど、そこで暴漢に襲われ片脚を失うことになってしまいます。

そうして、絶望したアルベルブルは、家族が待つ故郷へと帰っていくというストーリーです。

映画『テザ 慟哭の大地』のみどころ

「テザ 慟哭の大地」では、アフリカにあるエチオピアという国が舞台となっています。

世界的に見ると、アフリカで一括りにされてしまうことが多く、映画を通じてエチオピアの内情について知る機会はあまりありません。

そのエチオピアについて知ることができるのが、「テザ 慟哭の大地」です。

実際に起こった革命と政変、学生運動や政治的弾圧などの要素が取り入れられています。

そして、エチオピア人移民であるディアスポラの目線で描かれるため、自国での立場の不明瞭さや、海外での人種差別といった要素もあります。

そのような、フィクションでありながら、エチオピアのリアリティある実情を知られるのが、この作品の魅力です。

映画『テザ 慟哭の大地』の感想

日本からでは、エチオピアの政治情勢や、人々の生活を知る機会はあまり多くありません。

アフリカにある国、ということしか知らない人も多いでしょう。

そのような人にとって、「テザ 慟哭の大地」は、エチオピアの歴史や実情を知るチャンスです。

映画『テザ 慟哭の大地』の登場人物・キャスト

テザ 慟哭の大地の登場人物・キャストをご紹介します。

アンベルブル:アーロン・アレフ
アンベルブルの母:タケレチ・ベイエネ
アンベルブルの兄:ネビユ・バイエ
アザヌ:テジェ・テスファウン
アンバーバ:アロン・アーフェ
カサンドラ:アラバ・E・ジョンストン・アーサー
テスファエ:アビュユ・テドラ

映画『テザ 慟哭の大地』のスタッフ

テザ 慟哭の大地のスタッフをご紹介します。

監督:ハイレ・ゲリマ
脚本:ハイレ・ゲリマ
製作:ハイレ・ゲリマ、カール・バウムガルトナー
撮影:マリオ・マシーニ
編集:ハイレ・ゲリマ、ローレン・ハンキン
美術:パトリック・デシェスネ、アラン=パスカル・フーショー、スユム・アヤナ
音楽:ビジャイ・イェール、ジョルガ・メスフン