映画『ラ・ジュテ』のあらすじとレビュー|第三次世界大戦後のパリは廃墟となり放射能を避けて地下で暮らす様子を描いた作品

洋画

第三次世界大戦で敗北したフランスは、国中が荒廃し、生存者は放射能汚染を免れるため、地下に暮らすようになります。

支配者らは人類の存亡をかけ、一つの計画を立て、話が続きます。

1962年2月16日に公開された映画『ラ・ジュテ』は、トリエステSF国際映画祭でグランプリを獲得し、監督・脚本のマイケルは、映画監督の栄誉であるジャン・ヴィゴ賞を受賞しました。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『ラ・ジュテ』の予告編

<ラ・ジュテ・予告編>

舞台は、第三次世界大戦後のパリです。

街は廃墟と化しており、生き残った少数の人々が放射能を避けて地下に暮らしていました。

そこには、支配者層と奴隷層という明確な区分が起こります。

人類はエネルギー資源等を過去又は未来の世界に求めることになります。

科学者たちは実験に奴隷を使い、時空移動能力の開発に挑みます。

何人もの奴隷が犠牲になる中、一人の男の能力が覚醒するのでした。

映画『ラ・ジュテ』の解説

本作は1962年制作のフランス映画で、近未来を描いたSF作品です。

監督を務めたのは、フランスの作家・写真家でもあるクリス・マルケルです。

本作は、制作翌年のトリエステSF国際映画祭でグランプリを獲得しています。

また、マルケルは映画監督の栄誉であるジャン・ヴィゴ賞を受賞しました。

この映画は「フォトロマン」と呼ばれる手法が使われてるのが特徴です。

これは、撮影されたモノクロフィルムを連続で映し出すものです。

因みに本作は、押井守監督の「紅の眼鏡」にも影響を与えています。

ドキュメンタリー作家でもあるマルケルは、沖縄の戦闘を描いた「レヴェル5」も残しています。

映画『ラ・ジュテ』のあらすじ

第三次世界大戦で敗北したフランスは、国中が荒廃していました。

生存者は、放射能の汚染を免れるため、地下に暮らすようになりました。

支配者らは人類の存亡をかけ、一つの計画を立てました。

それは、時空に穴をあけて、過去や未来から必要な資源を得ようとするものです。

その為の人体実験には、大勢の奴隷が使われました。

時空に穴をあけるには、イメージ力の強い人間が必要でした。

科学者たちは奴隷たちの夢を監視し、一人の男を選び出します。

男は特殊な装置に繋がれ、ある薬剤を注射されます。

彼は長時間苦しんだ後、過去の意識が鮮明になってくるのでした。

映画『ラ・ジュテ』のみどころ

本作の見どころの一つは、人体実験を受けた男の記憶が鮮明になっていく場面です。

実験開始から16日が経ち、男は記憶の中で空港の送迎台に立っています。

彼はそこで一人の女を目撃します。

さらに2週間が過ぎ、彼は送迎台にいる女に声を掛けます。

実験が繰り返されるうち、科学者は男の意識を特定の過去に送れるようになりました。

男は女と親しくなり、自分が未来から来た人間であることを打ち明けます。

二人の絆が強まると、別れ際にはガラスのような壁が現れるようになります。

そんな中、男は実験の第一段階が終了したと告げられるのでした。

映画『ラ・ジュテ』の感想

本作の胆は、将に脚本にあると言えます。

視聴者は、ある意味で常識というものを覆されるでしょう。

ォトロマンという特殊な技法も、本作の独特な世界観の一翼を担っているわけです。

ナレーションとスチールというシンプルな構成ですが、芸術的には完成されたものとなっています。

映画『ラ・ジュテ』の登場人物・キャスト

ラ・ジュテの登場人物・キャストをご紹介します。

男:ダヴォス・ハニッヒ
女:エレーヌ・シャトラン
科学者:ジャッカス・ルドー
未来の女:リジア・ブラニツェ
ナレーター :ジャン・ネグローニ

映画『ラ・ジュテ』のスタッフ

ラ・ジュテのスタッフをご紹介します。

監督:クリス・マルケル
脚本:クリス・マルケル
製作:アナトール・ドーマン
音楽:トレヴァー・ダンカン
撮影:クリス・マルケル