目を覚ますとベッドに女がおり、昨夜、飲み屋で出会ったことがよみがえってくる。
急いで朝食の準備を始める男ジョン、一方の女メリーはシャワーを浴びだした。
二人の間に気まずい空気が流れだし、話が続きます。
1969年12月20日に公開された映画『ジョンとメリー』は、当時の若者たちの「あるある」を表現し世界的なヒットとなりました。
この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。
映画『ジョンとメリー』の予告編
<ジョンとメリー・予告編>
マンハッタン、朝、目覚めればベッドに見知らぬ女がいる、誰?
名前も知らぬまま昨夜から付き合ったらしい、気怠い雰囲気が終始流れ、互いに探り合いが始まります。
と同時にそれぞれの過去の恋愛も蘇り、理性を超えた感性が支配するドラマが動き出す。
古臭い表現ですが、日本的に言えばトレンディ・ドラマの一種とも言えましょう。
確かに公開後ブームになりましたから。
映画『ジョンとメリー』の解説
「大列車強盗団」「ブリット」とアクションで台頭してきたピーター・イェーツ監督にして初のラブ・ストーリー作品です。
前年特大ヒットの「ローズマリーの赤ちゃん」で一躍時の人となったミア・ファローの主演作で、一種のトレンドセッターの役割も担わされておりました。
ほぼ等身大の当時の若者たちの「あるある」を表現し世界的なヒットに繋がりました。
逆に上世代からは猛烈なバッシングもありましたが、却って宣伝になってしまいました。
現在と過去の描写が入り混じった表現も斬新です。
また主演の2人はいわゆる従来のハリウッドの美男美女とはかけ離れ、いわゆるニューヨーク派と称されるファッショントレンドにもなりました。
ちなみに日産自動車の当時の人気車種「スカイライン」の宣伝コピーに使われ大ヒットした「ケンとメリー」もおそらく本作の印象によるものでしょう。
映画『ジョンとメリー』のあらすじ
ふと目を覚ますとベッドに女がいる! 誰だろう? 全く記憶がない、ここはマンハッタン。
昨夜の喧騒がよみがえってくる、そうだあそこの飲み屋で出会ったんだ、一緒に寝たのだろうか?
取り急ぎ朝食の準備を始める男ジョン(ダスティン・ホフマン)。
一方の女メリー(ミア・ファロー)も起きてシャワーを浴びだしました。
なんとなく気まずい空気が流れだすも、朝のルーティンを粛々と始める2人です。
女が化粧をしている隙に男はバックからのぞく写真に中年の男が見え、なんとなく落ち着かない。
女はその中年男との逢引の日々を懐かしく思い出します。
男の方もかつて同棲していたモデルをしていた美しいルースとの思い出に耽ります。
怠惰な時間が流れ、気が付けば外は雨、慌てて女が出て行ってしまった。男はどうするのか・・・。
映画『ジョンとメリー』のみどころ
恋愛のパターンもいろいろですが、普通のラブストーリーのハッピーエンドが本作ではスタート地点ってのが驚きでした。
酔った勢いでしょうが、精神的な結びつきより、肉体的な結びつきが先なんですから衝撃です。
主演の2人の繊細な演技が本作を支えましたが、ことにもミア・ファーローの華奢な肢体と透き通るような白さがガラス細工のようで観客の心配を一身に浴びる仕掛けが巧妙でした。
ほとんどスタジオ撮影で、監督お得意のアクションはゼロです。
にもかかわらず心理戦の展開が結構ハラハラドキドキで目を離せない展開です。
その後、派手な男性遍歴を繰り返し魔性の女とも評されたミアですが、本作では純粋な天使の美しさに溢れておりました。
映画『ジョンとメリー』の感想
そもそも名前も知らない男女で始まり、やっとラストに互いの名前を打ち明ける構造がお洒落で斬新でした。
2人の心の声が本作構成の要で、お互いにしゃべっていないのに、しゃべっているようなやり取りが観客の心にスっと入ってきました。
部屋のインテリアもマンハッタンのお洒落人種御用達カタログの雰囲気たっぷりでした。
映画『ジョンとメリー』の登場人物・キャスト
ジョンとメリーの登場人物・キャストをご紹介します。
ジョン:ダスティン・ホフマン
メリー:ミア・ファロー
ジェームズ:マイケル・トーラン
ルース:サニー・グリフィン
ジョンの母:オリンピア・デュカキス
アーネスト:スタンリー・ベック
ヒラリー :タイン・デイリー
映画『ジョンとメリー』のスタッフ
ジョンとメリーのスタッフをご紹介します。
監督:ピーター・イェーツ
脚本:ジョン・モーティマー
原作:マーヴィン・ジョーンズ
製作:ベン・カディッシュ
音楽:クインシー・ジョーンズ
撮影:ゲイン・レシャー
編集:フランク・P・ケラー