映画『愛のむきだし』のあらすじとレビュー|それぞれの立場から、悩み、葛藤する家族の愛が巧みに描かれた作品

邦画

親から当たり前に与えられるはずだった愛情を受けることができないまま育ち、その虚しい感情を穴埋めるかのような行動に走っていく若者たちの姿を描いた物語です。

2009年1月31日に公開された映画『愛のむきだし』は、第9回東京フィルメックスアニエスベー・アワードと第59回ベルリン映画祭において、カリガリ賞と、国際批評家連盟賞を受賞した作品です。

この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。

映画『愛のむきだし』の予告編

<愛のむきだし・予告編>

誰でもが親から当然に与えられるべき愛情を受けることができないまま育ったことで、その虚しい感情を穴埋めるかのように、変態染みた行動や、怪しい宗教へと走っていく若者たちの姿を描いた作品です。

監督自身が実際に知り合ったという「盗撮のプロ」の実話をもとにして、監督自身の体験や取材などが組み込まれた作品となります。

映画『愛のむきだし』の解説

「愛のむきだし」は、第9回東京フィルメックスアニエスベー・アワードと第59回ベルリン映画祭において、カリガリ賞および国際批評家連盟賞を受賞した作品です。

また、2009年の「映画芸術」では、日本映画において第1位を獲得した作品です。

2009年1月31日に公開され、ファントム・フィルムが配給を担いました。

上映時間は237分と一般的な作品より長くなっています。

2008年11月に開催された第9回東京フィルメックスにおいて特別招待作品として上映されたあと、2009年1月31日に渋谷ユーロスペースなどて公開されていますが、R-15に指定されています。

映画『愛のむきだし』のあらすじ

クリスチャンホームに生まれ育った男子高生の本田悠は、幼い時に母親を亡くしたことで、神父の父であるテツと2人でささやかに暮らしていました。

しかしテツにカオリという愛人ができると、テツはカオリへと惑溺していきます。

そしてさらに、カオリがテツのもとから去ってしまうと、今度は息子である悠に対して、毎日のように「懺悔」を強要するのでした。

悠は父に懺悔する罪を作るために、いつしか女性を狙う盗撮魔へと姿を変えます。

それでも悠はテツに、罵られ、殴られることこそが自分への愛だと確信するのでした。

ある日、悠は女子高校生であった尾沢洋子に恋をするのでした。

映画『愛のむきだし』のみどころ

テツはカオリと再会すると、突然に悠に対して「神父をやめて結婚する」と語り始めます。

しかしカオリには子どもがいたのです。

なんと、それは悠が恋をしていた洋子でした。

しかし洋子はサソリの正体が悠であるとは気付かないまま、悠の存在そのものを毛嫌いしてしまいます。

悠の混乱は日ごとに増していきますが、それを掻き消すように盗撮を続ける毎日を送ります。

時同じくして、新興宗教団体である「0教会」という団体が世間を賑わせていました。

そんな中、教祖の側近であるコイケは悠と家族たちに近付き始めます。

ここでもまた、愛を巡って、想いが掻き乱れるのでした。

映画『愛のむきだし』の感想

それぞれが、それぞれの角度や立場から問い、悩み、葛藤する家族や、家族の愛が、巧みに描かれた作品でした。

時に過激とも言える作品ではありますが、誰の心にも少なからずあるはずのものを改めて問うているようにも映ります。

映画『愛のむきだし』の登場人物・キャスト

愛のむきだしの登場人物・キャストをご紹介します。

本田悠(ユウ):西島隆弘
尾沢洋子(ヨーコ):満島ひかり
コイケ:安藤サクラ
カオリ:渡辺真起子
本田テツ:渡部篤郎

映画『愛のむきだし』のスタッフ

愛のむきだしのスタッフをご紹介します。

原案・脚本・監督:園子温
エグゼクティブプロデューサー:横濱豊行、河井信哉
音楽:原田智英
撮影:谷川創平
美術:松塚隆史
照明:金子康博
録音:永口靖