映画撮影のクルーは、ペルーまでやって来て、現地の住人たちの前で様々なフィクションの撮影を繰り広げています。
しかし、スタントマンのカンザスだけは、その撮影にうんざりしており、話が続きます。
1988年10月21日に公開された映画『ラストムービー』は、ベネチア国際映画祭で、審査員特別賞を受賞しています。
この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。
映画『ラストムービー』の予告編
<ラストムービー・予告編>
「ラストムービー」は、ペルーを舞台に、フィクションがノンフィクションになってしまうという映画です。
ペルーを訪れたハリウッドの映画クルーを真似して、現地の住人によって全てリアルで再現しようという内容となっています。
そして、メタファクチャーの要素が積極的に取り入れられた、ハリウッド映画を皮肉る作品でもあります。
映画『ラストムービー』の解説
「ラストムービー」は、1971年に制作されたアメリカ映画です。
1969年の「イージーライダー」で大ヒットを起こしたデニス・ホッパーの、監督第2作目です。
デニス・ホッパーは、自らスタントマン役として、主演を務めています。
そして、ベネチア国際映画祭で、審査員特別賞を受賞しています。
しかし、内容が難解であるという理由から、配給会社が消極的でした。
その結果、大規模な配給が行われず、早々に公開終了になってしまいます。
もちろん、興行収入も芳しいものではありませんでした。
その際に起こったトラブルが原因で、デニス・ホッパーは、1980年公開の「アウト・オブ・ブルー」まで、およそ10年間監督作品を世に出していません。
映画『ラストムービー』のあらすじ
映画撮影のクルーは、ビリー・ザ・キッドをテーマにした作品のために、ペルーまでやって来ました。
クルーは、現地の住人たちの前で、様々なフィクションの撮影を繰り広げています。
しかし、スタントマンのカンザスだけは、その撮影にうんざりしていました。
そして、撮影が終わってからもペルーに残り、ペルー人のマリアと共に暮らし始めます。
しかし、そこへ金塊探しの集団が訪れ、カンザスはそこで溺れていきます。
その一方で、ペルーの住民たちは、映画クルーの真似をしながら、自ら撮影をしていきます。
フィクションという知識がないため、全てリアルで撮影していくという内容です。
映画『ラストムービー』のみどころ
「ラストムービー」の見どころは、映画そのものを皮肉ったメタファクチャーです。
作中では、ペルーの住人たちが、映画の祭りと称して、リアルな様子を再現していきます。
その際に使用されるカメラやマイクは、本来の機能を持たない模型です。
つまり、機材が本物で映像が偽物のフィクションである映画と、全てが逆というわけです。
そうして、映画とはそもそも何なのかを訴えかけてくるのが、「ラストムービー」という作品です。
そのため、映画が好きで、画面の向こうにある様々なフィクションを見てきた人にこそおすすめです。
画面のこちら側で、色々と考えさせられることでしょう。
映画『ラストムービー』の感想
「ラストムービー」は、当時の事情が原因で、知名度があまり高くありません。
しかし、作品自体は、高い評価を得ることが多いです。
そして、ハリウッドを盛大に皮肉った作品でもあります。
そのため、一風変わった名作を見たいという人には、「ラストムービー」がおすすめです。
映画『ラストムービー』の登場人物・キャスト
ラストムービーの登場人物・キャストをご紹介します。
カンザス:デニス・ホッパー
アンダーソン夫人:ジュリー・アダムス
監督:サミュエル・フラー
マリア:ステラ・ガルシア
ネビル・ロービー:ドン・ゴードン
保安官:ピーター・フォンダ
助監督:シルビア・マイルズ
サム:サミュエル・フラー
ビリー・ザ・キッド:ディーン・ストックウェル
チャーリー・ボードレ:ラス・タンブリン
司祭:トーマス・ミリアン
映画『ラストムービー』のスタッフ
ラストムービーのスタッフをご紹介します。
監督:デニス・ホッパー
製作:ポール・ルイス
製作総指揮:マイケル・グラスコフ
原案:デニス・ホッパー、スチュワート・スターン
脚本:スチュワート・スターン
撮影:ラズロ・コヴァックス
音楽:クリス・クリストファーソン