逃亡兵が精霊であると思い込み、隠れて世話をし始めるが、ほどなく脱走兵は警察に発見されて亡き者にされます。
現場の痕跡と警察に驚いたアナは夜の森へと逃げ込み、さまよい、話は続きます。
1973年10月8日に公開された映画『ミツバチのささやき』は、家庭の分裂、荒涼とした象徴的な風景、シンボリックなミツバチとその巣と共に、幼い姉妹の性格の対比、純真無垢な少女アナと逃亡兵との一時的な交流を描いた作品になります。
この作品のみどころや感想など、感じたことをご紹介します。
映画『ミツバチのささやき』の予告編
<ミツバチのささやき・予告編>
1940年頃のスペイン内戦後の小さな村に、移動映画館がやってきてアメリカのホラー映画「フランケンシュタイン」を上映します。
まだ幼い少女アネは、悪戯好きの姉の作り話を信じてしまい、映画の怪物が実在する精霊であるという作り話を信じ込んでしまいます。
そのような折に、一人の脱走兵が村の廃屋に隠れ潜んでいることを発見したアナは、その脱走兵が精霊であると思い込み隠れて世話をし始めました。
やがて脱走兵は亡き者にされ、その痕跡と警察に驚いたアナは夜の森へと逃げ込み、そこでフランケンシュタインの幻覚を見るのでした。
映画『ミツバチのささやき』の解説
スペイン内戦の終結直後の1940年を舞台とし、1973年の独裁政権が終了する数年前に製作された銘画として有名な作品です。
内戦下の夫婦の問題や悩みや家庭の分裂、荒涼とした象徴的な風景、シンボリックなミツバチとその巣と共に、幼い姉妹の性格の対比、純真無垢な少女アナと逃亡兵との一時の交流を描いた作品です。
しかしこれらは、検閲を逃れるために政治批判を象徴的に表現し、メッセージを表面化しない芸術的に製作された当時よくとられた代表的な手法であり、現代ではそのような作品群の一つと認められています。
しかしながら、このような政治的・思想的な背景を抜きに鑑賞しても十分感慨深い名作に仕上がっています。
映画『ミツバチのささやき』のあらすじ
1940年頃のスペイン内戦後の小さな村が舞台。
村の皆が楽しみとしている移動映画館がやってきて、流行りのアメリカのホラー映画「フランケンシュタイン」を上映します。
映画を見たまだ幼い少女アネは、怪物の話とと現実の区別がまだつかず、悪戯好きの姉の作り話を信じてしまい、怪物は実在する精霊であるという作り話を信じ込んでしまうのでした。
そのような折に、一人の逃亡兵が村の廃屋に隠れ潜んでいることを偶然発見したアナは、逃亡兵が精霊であると思い込みこっそり隠れて世話をし始めるのでした。
しかし、ほどなく脱走兵は警察に発見されて亡き者にされ、持ち込まれていた遺留品からアナの家族へ嫌疑がかかりました。
現場の痕跡と警察に驚いたアナは夜の森へと逃げ込みさまよいます。
映画『ミツバチのささやき』のみどころ
政治的・思想的なメッセージを隠すための象徴的な手法について、全く先入観がなくとも、長く記憶に残る様な芸術的な映像作品です。
特に美しいとかきらびやかでもなく、映画としてはかなり荒涼とした地方の鄙びた風景や暑苦しい日光などなど珍しくもなんともない日常的な情景を淡々と映しながら、奥深い民族的な象徴的なシーンに自ずから気づかされる映画です。
解説があればより明快となりますが、インターネットが普及していない時代には、欧米人ではない日本人がこれらの象徴の詳細に気が付くのにはかなり時間を要します。
結末の解釈には諸説ある深い映画であり、ディテールは後の世につくられた作品に影響を及ぼしていることが確認される名作にまちがいありません。
映画『ミツバチのささやき』の感想
学生時代に必ず観るように勧められていた映画でしたが、その象徴のひとつであるミツバチについて、中世ヨーロッパでの象徴としての位置づけの詳細を、つい最近知って驚きました。
そういった感じで、民俗学的にも奥深い作品とて今なお心に残っています。
映画『ミツバチのささやき』の登場人物・キャスト
ミツバチのささやきの登場人物・キャストをご紹介します。
フェルナンド(父):フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサ(母):テレサ・ヒンペラ(スペイン語版)
アナ :アナ・トレント
イサベル(姉):イサベル・テリェリア
フランケンシュタイン :ホセ・ビリャサンテ
逃亡者 :ジュアン・マルガロ
映画『ミツバチのささやき』のスタッフ
ミツバチのささやきのスタッフをご紹介します。
監督:ビクトル・エリセ
脚本:ビクトル・エリセ
アンヘル・フェルナンデス・サントス
製作:エリアス・ケレヘタ
音楽:ルイス・デ・パブロ
撮影:ルイス・カドラード
編集:パブロ・ゴンザレス・デル・アモ